相続人以外の人が遺品整理を行う際の注意点と責任を遺品整理業者が解説

相続人以外が遺品整理を行ってもいいの?

相続人以外の人が遺品整理を行う際には、法的な責任や注意点がいくつか存在します。

遺品整理には被相続人の財産や所有権が含まれるため、基本的には法定相続人が行うものだからです。

ただし、相続人が高齢・未成年の子供、また遠方に住んでいたり、身寄りがない場合や相続放棄をした場合など、さまざまな理由で他の親族や誰かが遺品整理を業者に依頼するケースもあります。

本記事では、現場を知り尽くした遺品整理業者が、今まで行ってきた具体的な事例と注意点についてお伝えします。

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相続人以外の人でも遺品整理を行える?

遺品整理は、一般的には法定相続人が行うものですが、特定の親族や関係者の誰かがその役割を引き受けることがあります。

たとえば、相続人が整理を行えない場合や、遺言で特定の誰か人物に依頼されている場合などが考えられます。

こちらでは、相続人以外が遺品整理を行うことができる具体的な状況と、それに伴う注意点を中心に解説します。

遺品整理の基本と相続人の役割

遺品整理における基本的な手順と相続人の権利を理解するためには、まず被相続人(故人)の財産に関する法定相続人の順位や、その権利について誰がどのような権利を持つのかを知ることが重要です。また、配偶者は法律上必ず相続に関与し、相続の対象となります。

以下の図は、被相続人から相続される遺産に関する相続人の順位と、誰が相続するのかという相続権に関する基本的なルールを視覚的に示しています。

引用 : 死亡した人の財産を継承する相続人

引用 : 死亡した人の財産を継承する相続人(公益財団法人 生命保険文化センター)

相続人以外が遺品整理を行うケースと注意点

相続人が遠方に住んでいる場合や、高齢で身体的に困難な場合、親族や友人が代理として遺品整理を行うことがあります。

また、相続人が孫や未成年の場合は、代理人がその役割を背負うこともあります。これには法律的な手続きが必要となる場合があります。

さらに、全員が相続放棄を行った場合、選任された相続財産清算人や司法書士、弁護士が遺品整理を行うこともあります。

弁護士専門家

このようなケースでは、適切な法的手続きを踏む必要がありますので、法的な詳細については専門家の助言を受けることが重要です。

相続人以外が遺品整理を行う際の注意点

相続人以外が遺品整理を行う場合には、法的な手続きや責任が発生することがあります。

特に相続放棄や亡くなった人の相続人がいない場合には、注意が必要です。

また、未成年の相続人を代理する際にも、適切な対応が求められます。これらの状況では、法律の専門家のアドバイスを受けることで、手続きがスムーズに進み、トラブルを回避できることが期待されます。

相続放棄と遺品整理の関係

相続放棄を行うと、相続人は財産や債務(借金)に対する権利と義務を放棄しますが、同時に遺品整理の責任もなくなります。

ただし、相続放棄後も故人の所有権に関わる遺品が残る場合、撤去を求められることがあります。例えば、相続放棄をしても、連帯保証人としての責任が免除されない場合があります。

当店にはこのような状況で賃貸物件の整理に関するご相談が多く寄せられます。

高級腕時計

相続放棄をした方が、連帯保証人をしていて遺品や家財を片付ける際に、部屋に現金や財産価値のあるものが含まれる場合は、法的なトラブルを抱えないよう、法律の専門家に適切なアドバイスを受けた上で進めることが大切です。

これは、相続放棄をした人が亡くなった方の遺品を片付ける際に、被相続人(故人)の財産を相続したことにならないようにするためです。

連帯保証人が遺品整理を行うケース

時々ご依頼があるのは、誰かのアパート・マンションの連帯保証人をしていた方からの依頼です。

この場合は、相続放棄の場合とは異なり、通常は特別な問題が生じにくいですが、賃貸物件の場合は、部屋の不用品を片付けて明け渡す手続きも必要になります。
連帯保証人として、これらの作業を行う義務が発生することがあります。

部屋の汚れが激しい場合には、清掃およびハウスクリーニングが必要になることがありますので、賃貸契約書を確認することが重要です。

賃貸契約書イメージ

もし賃貸契約書の確認を怠ると、退去時に原状回復に関する金額が不明瞭となり、後々トラブルに発展する可能性があります。

そして、管理会社等から追加の金額を請求されても契約内容がわからないため、難しい対応になります。

万一、契約書が見つからない場合には、管理会社に再発行を請求してください。

故人と親しかった人が依頼された場合の注意点

亡くなった方が生前に、特定の誰か友人や知人に遺品整理を依頼していたケースも少なくありません。このような場合、相続人が遠方に住んでいたり、疎遠であったりすることが理由となることが多いです。

このケースでも、相続人以外の人が遺品整理を進めることに問題はありませんが、相続人と連絡が取れる場合は、事前に双方の意向を確認しておくと良いでしょう。これにより、後々のトラブルを避けることができ、整理作業がよりスムーズに進みます。

遺品整理を開始する前に確認すべき事項

相続人が遺品整理を行う場合でも、事前に確認すべき重要な事項があります。特に遺言書の存在や内容を確認することは、故人の意思を尊重し、トラブルを防ぐために不可欠です。

遺言書と聞いて、皆様意外と思われるかもしれませんが、当店は遺品整理業者として2002年より営業していますが、遺族が知らなかった「遺言書」を発見したことが10回近くあります。

遺言書

そのため、相続人以外の人が遺品整理を行う際には、誤って処分しないようにご注意ください。後々の手続きや親族間の関係に影響を及ぼす可能性があるからです。

遺言書の確認とその重要性

改めてお伝えすると遺品整理を開始する前に、まず確認すべきは遺言書の有無です。

相続人以外の人が遺品整理を行う場合でも、遺言書が存在すれば、その内容に従って遺品の整理や遺産分割が進められるからです。

では部屋にある場合はどこにあるのでしょうか?

もし、部屋に置いてある場合は目立たない場所にあります。

部屋にある引き出し箱

当店が以前発見したのは「衣類を入れるプラスチックケース・本棚の本に挟んであったケース・書類が入っていた引き出し」などにあったケースです。

そのため、相続人以外が整理を行う場合も含め、遺品整理の初期段階で必ず確認することが重要です。

相続人全員から依頼の同意を得る重要性

相続人以外の人が遺品整理を行う際には、兄弟姉妹などの相続人全員から依頼の同意を得ることが極めて重要です。全員の同意がなければ、遺産分割や遺品の処分でトラブルになることが多いからです。

通常の遺品整理の場合も、相続人が多い場合や意見が対立する場合には、各相続人の意向をしっかりと確認することが求められます。そのため、円満に進めるためには必ず相続人に合意をとってから進めてください

トラブルを避けるための対応とポイント

遺品整理を進める際には、トラブルを避けるためにいくつかの重要なポイントを押さえる必要があります。特に整理を進める上で、家族・親族間でのコミュニケーションは欠かせない要素です。

通常の遺品整理でも、これらの合意が不可欠なので、相続人以外の人が遺品整理を行う場合には、さらに慎重な対応が求められます。

さらに、遺品の中でも財産的価値のあるものとないものをしっかりと区別し、その取り扱いについて相談することで、円滑に遺品整理を進めることが可能になります。以下では、それぞれのポイントについて詳しく説明します。

親族間でのコミュニケーションと相談の方法

遺品整理を進める際、特に相続人以外の人が整理を担当する場合、事前に各相続人の人に意向を確認し、整理の方針について共通理解を持つことが重要です。

例えば、残すべき形見は何か?貴重品が出てきたら誰に連絡するのか、誰がどの遺品をどう処分するか、優先順位を話し合います。

写真・アルバム

相続人以外の人が遺品整理を行うことは全く問題ありませんが、念のため整理の進め方について、相続人全員が納得できる形で合意を取ることが、後々のトラブルを避け、スムーズに遺品整理を進めるためのポイントです。

遺品の分類と処分の基準

遺品整理を効率的に進めるためには、まず遺品の分類を行い、その後の処分方法を明確にすることが必要です。

分類の基準としては、「亡くなった方の思い出の品や家族の歴史に関わる物品、財産的価値の有無が挙げられます」

家族写真

たとえば、家族の絆の写真などは象徴するものは慎重に扱い、それ以外のものについては処分を検討します。

また、処分の基準としては、リサイクルや寄付、廃棄といった選択肢があり、物の状態や価値に応じて適切な方法を選ぶことが求められます。

このように、遺品の分類と処分基準を明確にすることで、遺品整理が効率よく、かつトラブルなく進行します。

財産価値のある遺品とない遺品の区別

遺品整理を進める際、多くの遺品の中には財産価値のあるものとそうでないものが含まれています。そのため、まずはこれらを区別することが重要です。

貴金属

財産的価値のある遺品としては、現金、貴金属や骨董品、高額な家電製品などが挙げられます。

一方、思い出の品や日用品は必ずしも財産的価値を持つとは限りませんが、感情的な価値を持つことも多いです。

こうした区別を行う際には、遺品整理業者に相談して進め方を聞くと安心です。また、価値が少ないと思われるものの処分方法を決めておくことで、遺品整理がスムーズに進むことが期待できます。

まとめ : 相続人以外でも遺品整理出来る

如何でしたでしょうか?当店に多く寄せられる「相続人以外でも遺品整理ができるの?」という質問について解説してきました。

相続人以外の人が遺品整理を行う際には、遺言書や相続人の意向を確認し、親族間での合意を形成することが重要です。

また、遺品の分類や処分においては、感情的な価値と財産的な価値を考慮して進めることが求められます。これらのポイントを守ることで、トラブルを避けつつ、スムーズに遺品整理を行うことが可能です。
今回の内容で、相続人以外の人でも遺品整理を円滑に進める方法についてご理解いただけたかと思います。

よくある質問とその回答

相続人以外が遺品整理を行う際には、いくつかの共通した疑問がよく寄せられます。

その一つが「相続人全員の同意が必要ですか?」というご質問です。

相続人全員の同意を得ることは本当に重要で、これがないと後々遺産分割や遺品の処分でトラブルやもめる可能性がありますのでご注意ください。

また、「遺品整理を始める前に確認すべきことは何ですか?」という質問も多くあります。
この場合、まず遺言書の有無を確認し、続いて相続人全員で話し合い、整理の方針を決めることが推奨されます。

専門家への相談方法

相続人以外の人が遺品整理を行う際には、相続放棄やその他の状況によっては専門家に相談することが非常に有効です。

例えば、家庭裁判所が絡むような複雑な相続問題や法律が生じる場合には、後々もめることがないように、弁護士や司法書士の助言を受けるのが適切です。

しかし、このような複雑なケースはですので、通常は相続人以外の人が亡くなった方の遺品整理を行うことに問題はありません

これからは、相続人が高齢者であったり、相続人がいないケースもあるので、法定相続人以外の人が遺品整理を行うのが、今よりも一般的になるかもしれません。

重要なのは、相続人以外でも遺品整理が可能であることを理解し、先ほどお伝えした注意点を守りながら進めるようにしてください。

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