遺品整理業書として心がけていること
(※ 部屋の養生光景です)
部屋一杯にある遺品、「もう片付けなければ・・・」とは思うけど、どうも気持ちの区切りがつかなくて・・・。
思い出もあるから、すぐに捨てたくはない。けど賃貸だから片付けざるを得ない。
お客様それぞれに思いがあります。
遺品を整理するのは、不用品の処分とは違います。故人への思いがあるからです。
ですので、気持ちの整理がついた時に、ご遺族の方が少しずつ整理をされることも1つの方法です。
ただ現実には、量が多くてとても自分では片付けられない場合や、賃貸だから他人の手を借りてでも、すぐに片付けなければならない場合もあります。
そして、ほとんどの方にとって遺品を整理することは一生に一度の話です。
ですから、お客様ご自身が知らないこともあって戸惑われる方も多いのです。
今の仕事を行っている原点は、かつて私が父の遺品整理を全て自分自身で行ったことから始まり今日に至ってます。
当店では、お客様に「依頼してよかったと」思っていただいて初めて仕事をさせて頂いた価値が生まれる。
私が同行させていただくスタッフに常にこのことを言い聞かせています。
喜び・嬉しかったこと
そしてこの仕事をしていて本当によかったと感じることがあります。
それは、無事作業を終えさせていただいた後に、お客様から書いていただくアンケート。
私自身が父の遺品の整理をした経験からお客様ご自身の気持ちが伝わってくる瞬間だからです。
先月、お客様より言われました。
「店長の意向と指示を作業をしているスタッフの方がとてもよく理解して動いていた。見ていて気持ちがよかった。」正直、本当に嬉しく思いました。
そしてお客様はいろいろなところを見られていると実感しました。現場でのサービスの向上は接客のうえでも、無限にあります。
そしてお客様より頂くアンケートは日々、私たちが今の仕事をしていてよかったと実感させられます。
忘れられないできごと
朝日新聞社の取材を受けた時にお伝えした忘れられない出来事です。
(当店が志木市に事務所を構えていた時期の記事)
それは、2008年の暮れに、知り合いのお客様からの紹介で和光市に見積もりに出向いた際のことでした。
現地に到着すると、アパートの玄関の扉は開いており50代の女性と20代の娘さん親子が静かに立っていました。
「靴のまま土足であがってください。」
そして、「全てゴミのため残すべき遺品はありません。」初めは正直、戸惑いました。
伺うと、20年前に離婚し、身内のいない故人に代わり、入居時に保証人だった奥さんが役割を果たそうとしていました。
(※ 写真はイメージです)
靴を脱いでお邪魔すると床にはウイスキーの空ボトルがざっと計算しても200本以上あったと思います。
作業日時の打合わせをし、後日作業に入りました。
作業もほぼ終わりに近づいたときに、テレビ台の中に古い幾つかの箱がありました。
そこには親子3人が色紙に描かれていた水彩画。よく遊園地等にて書いてくれるものです。それを大切に保管されていました。
また、故人の手帳のカレンダーには娘の身長と体重。メモの隣には成長記録も書いてありました。
念のため「ご遺品をどうされますか?」伺うと、それまで極めて遺品に対して事務的な会話をされていた娘さんの顔がこわばり、「その時の涙ぐんだ瞬間を」今でも心に残っています。
娘さんはアパートの鍵を掛けた後、ご近所に挨拶まわりをされて父親の遺品を大切そうに胸にかかえられ、帰路の駅に向われました。
私は、その後ろ姿をいまだに覚えています。
23年の経験に基づく信頼サービス
私はこの業界で23年間、遺品整理に携わっていますが、当時は『遺品整理』という言葉すら一般的ではありませんでした。
今では『遺品整理』と検索すると、多くの業者が広告を出しています。
遺品整理に関する民間資格も増えて、通信教育などで資格を取得している方もいます。
(※現時点で、国家資格や自治体認定の資格はありません。)
資格制度がある一方で、経験を重ねて身につく対応力も大切です。
これまでの経験を通して感じるのは、遺品整理の現場では予期しない出来事が少なくないからです。
理由はいくつかありますが、持ち主がいない部屋を整理するため、どこに何があるのか把握しづらいことがあります。
また、遺族の方が遠方にお住まいの場合、生前の生活状況や近隣住民との関係が分かりにくいこともあります。
(※ 作業前の近所ご挨拶一例です)
以前、あるアパートで作業を担当した際、隣近所の方々から「生前お世話になっていたので、お線香をあげさせて欲しい」とお願いされました。
ご近所の方まで含めると、ご遺族も知らなかった方々が何人も来られました。
こうした状況では、作業を一時中断する必要が生じることがあります。
このように、遺品整理の現場はケースごとに大きく異なり、定型化できない部分があります。
そのため、当店では年間の作業件数を約165件までを目途に、一つひとつ丁寧に対応させていただいています。
遺品整理は最後のお別れの場です。
その場に同席させていただけることは、私たちにとって何よりの喜びです。
ご不明点やご質問があれば、遠慮なくお問い合わせください。